永田式英語長文直読直解法とは、英語と日本語の本質的な違いと、ワーキングメモリの使い方に注目した画期的な英語の読み方で、速く、正確に、書いてある内容をはっきりとイメージしながら読めるようになります。


前回、日本語はワーキングメモリをたくさん使う言葉であることをおつたえしました。今回は、日本語に訳すと英語が読めなくなる理由を詳しく説明していきます。


日本語に翻訳するとワーキングメモリが溢れる!

英語は、前から読んでいくことでワーキングメモリを節約できます。その結果、脳に負荷をかけず、スムーズに文章を読んでいけるようになります。

これに対して日本語は、ワーキングメモリをたくさん必要とする言葉です。英語を日本語に訳しながら読むということは、わざわざ脳に負担のかかる方法で読んでいるということです。

そして、英語を日本語に訳すためには、一度、英文をバラバラして、それぞれの項目をワーキングメモリに記憶させる必要があります。この時、ワーキングメモリを占有してしまうので、これより前に読んだ文章の内容も消されてしまいます。

無事に日本語訳ができたとしても、それより前の文章の内容が飛んでしまうので、長文としての読解ができなくなります。

日本語訳できているのに文章の内容が頭に入ってこない原因はこれです。

 

本物の英語は英語は一文が長い

受験英語ではなく、生の英語を読んだことがある人ならわかるはずですが、本物の英語は一文が長いです。日本語のようにワーキングメモリを多く必要としないため、長い文になっていてもスラスラ読めます。

これを日本語訳するとどうなるか、、、、

長~い日本語訳が出来上がります。「わかりやすい日本語を書くなら、一文を短くしろ!」というのはよく言われていますが、その逆の文章ができあがります。極端に大きなメモリが必要な文章が出来上がるので、日本語になっているのにまともに読むことができません。

英語を翻訳した文章が読みにくいのはこのためです。

日本語に訳していないけど読めない

英語のまま読んでいるからといって安心はできません。

ある程度英語が得意な人は、日本語を使わずに英語のまま読んでいます。しかし、一文が長くなると急に読めなくなります。

私もこのタイプでした。受験英語なら読めるけど、本物の英語は一文が長くなってうまく読めません。単語ひとつひとつ、あるいは短い文なら英語のまま読めています。

これは、無意識のうちに語順を入れ替えてしまっているからです。無意識にやっているので修正には少し時間がかかります。前から読んでいるつもりでも、文法を意識すると頭の中で入れ替えてしまうのです。

単語ひとつひとつを日本語に置き換えていくことで矯正できる

私が中学生に英語を教える時、「英語はとにかく前から読むんだ!」と言いながら、単語ひとつひとつを日本語に置き換えながら一緒に読んでいきました。

I saw a man in front of the hospital.

【私は、見た、ある男の人を、~の前に 病院の】

と言った感じです。

前から読んだ方がいいのはわかっていたので、このように教えたのですが、これを繰り返すことにより、私の中でも変化が起こっていました

単語ひとつひとつを日本語に置き換えていくことにより、私自身、正しい語順で読めるように矯正されたんです。

そう、前から読んでいるつもりでも、文法知識が邪魔をして徹底されていなかったんです。

偏差値50以下の生徒さんの場合、文法もできないため、前から読んでいく方法はスムーズに習得できます。

ある程度英語の得意な人の場合、クセがついているので矯正に少し時間がかかりますが、一語一語日本語に置き換えていくことで簡単に矯正することができます。

黙読を繰り返すことで日本語は消える

「英語を単語ごとに日本語に置き換える」という手法で読めるようになった文章を、繰り返し黙読すれば、「単語ごとの日本語の置き換え」をしなくても読めるようになります。5回も読めば十分です。

日本語は全く使っていないので、「英語を英語で読んでいる」ということになります。

キツネにつままれたような感覚ですが、日本語を使って英語を読んでいくと、いつのまにか英語だけで英語が読めるようになっているということです。

英語で読むことにこだわる必要はない

直読直解法というと、すべて英語で読もうとするのが一般的な考え方ですが、それは効率がいい方法ではありません。

直読直解法は、語順のトレーニングと、単語ごとの直解トレーニングを分けることよって簡単に習得できます。

最初から無理に英語で読もうとする必要はありません。同じ文章を何度も読めば日本語は自然に消えます。難しい英文に出会ったら、また日本語の力を借りればよいのです。

ただし、語順だけは絶対に英語のまま読んでください。



辞書を引きとワーキングメモリ

生徒さん達に、「辞書を引くのが苦手ですか?」と質問すると、ほとんどの人はいと答えます。

辞書を引くという作業はワーキングメモリを多く必要とします。一般人の脳では辞書を引くのに必要なメモリを確保できません。なので大多数の人は辞書をうまく引くことができません。

しかし、中には辞書を楽に引ける人もいます。生まれつきワーキングメモリが大きい人です。国語や英語が得意な人に多く、英語の先生は辞書が大好きなんです。一昔前の学校ではとにかく紙の辞書を引くことを強要されました。

「辞書をひかなければいけない」という固定観念があるので、塾でも「とにかく辞書を引きなさい」と指導してしまうことが多いです。

しかし、ワーキングメモリはトレーニングしても劇的に増えるわけではないので、いくら辞書を引く練習をしても苦手な人は苦手のままです。

こんなことをしていたら、辞書嫌い、英語嫌いになるだけです。辞書を引くのは大切ですが、できるだけ辞書を引く回数を減らす工夫も必要です。何度も辞書を引かなくていいように、英単語はきっちり覚えておきましょう。

今は電子辞書があるので、以前より辞書を引くハードルが下がりました。先生によっては、未だに紙の辞書を勧める人がいますが、自分に合った辞書を使うようにしましょう。

もちろん、紙の辞書が引ける人は紙の辞書をバンバン引いてください。電子辞書は仕方なく使うものであって、引けるなら紙の辞書の方がいいです。

 

次回は、日本語脳と英語脳の関係についてお話します。

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA